イタリアのレモンディーニ宮殿を修復
イタリアのサン・ジョバンニ・イン・ペルシチェートにあるレモンディーニ宮殿は1600年に建てられたものですが、過去の度重なる地震の影響で深刻な被害を受けていました。2018年、自治体は、この宮殿が大規模な崩壊を含む劣化が著しく進んだ極めて危機的な状況にあるとして、緊急に建物保全を行うよう臨時命令を発令しました。同宮殿の修復は、レモンディーニ地区全体を対象とした都市再開発プロジェクトの一環として行われる予定でした。
ボローニャに拠点を置くデジタルエンジニアリング会社、e-Makingは、建造物の保存と修復、耐震補強のプロジェクト全体を通じて共同作業を向上させるためにMatterportを選びました。まず、同社はLeica BLK360カメラとMatterport Pro2カメラを使ってレモディーニ宮殿のデジタルツインをキャプチャしました。
e-Makingのプリンシパル兼CEOを務めるAngelo De Cocinis氏は、このプロジェクトに携わる中で、チームのデジタルツインや建築書類のアーカイブや共有の方法をリバースエンジニアリングの手法で見直し、その内容を参考に、Matterportプラットフォーム開発ツールを活用してデジタルツインの空間データを集約するプロジェクト管理ソリューションe-Buildingを生み出しました。
設計チーム間でデータを共有して効率性を向上
e-Makingのチームは、e-Buildingプラットフォームで各マイルストーンのMatterportデジタルツインを建築、MEP、構造エンジニアリングの各チームと共有。それぞれのチームが条件を分析して同時にタスクを実行できるようになりました。バーチャル検査にもMatterportのデジタルツインを活用し、宮殿の調査や予備測量にかかる時間とコストを削減しました。
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「Matterportの測定モードを使うことで、不規則性の高い建物であっても従来の方法と比べて誤差が50分の1という高い精度を実現することが可能です。MatterportプラットフォームとMatterport Pro2およびLeica BLK360カメラを併用することで現場調査の所要時間は8時間と、従来と比べて70%短縮した結果、20%のコスト削減に成功しています」(De Cocinis氏)。
チームはe-Buildingの高度なナビゲーション機能を使ってデジタルツインの要素を分析し、関係者と協力して解決策を見出すことができました。チームのメモや、写真、動画、音声形式の各ファイルといった他の関連情報には、ユーザーが簡単に検索でアクセスできるインタラクティブなMattertagsが埋め込まれています。チームはデジタルツインの情報を常に更新するため、Mattertagsはデータ収集の初期段階に加え、設計・施工時にも不可欠な存在となりました。
Matterportの点群を使ってAutodesk Revitで干渉チェックを設計のさまざまな段階で実行することで、チームは機械・電気・配管(MEP)システムの分布を最適化し、施工前に建築設計、構造設計とプラント設計の間の不整合を解消できました。
建設と検査の持続可能性を向上
「e-Buildingの活用で、BIMドキュメントとデジタルツインを作成したその日に建設現場で建築、MEP、構造エンジニアリングの各チームと一緒に管理・共有できるようになりました」とDe Cocinis氏。「これにより、データへのアクセスと共有にかかる時間とコストを80%削減することに成功しました」
現場検査もスムーズになりました。Matterportを使うことで、設計チームと関与会社の大半のメンバーは、まったく費用をかけずにデジタルでプロジェクトの検査を行え、実際に現地に出向いて検査を行う場合に比べて時間とコストを100%削減することができました。
「当社では、没入的なナビゲーションが可能なMatterportデジタルツインで新たなリバースエンジニアリングのデザインフローをテストしたうえで、e-Buildingプラットフォームで強化しました。デジタルツインは検索、測定し、ウェブ経由で関係者と共有可能なため、バーチャル検査を実施して、時間と費用を大幅に削減できました」とミラノ工科大学准教授のDaniele Fanzini氏は説明します。「これらのツールとBIM技術を組み合わせることで、新しい設計方法が可能なります」
設計と管理のワークフローの最適化は、全般的に、持続可能性の高い建設プロセスにつながっています。現在は、レモンディーニ宮殿を今後もずっと楽しんでもらえるように、継続的メンテナンスと運営のためにデジタルツインやドキュメントのアーカイブを簡単に参照できるようになっています。
e-MakingはMatterportのAPIとSDKを利用して、そのアプリと統合機能を市場最先端の当社空間データプラットフォームで構築、商品化するMatterportプラットフォームパートナーです。プラットフォームパートナーとして利用可能な幅広い商業的メリットを通じて、アプリケーションの収益化に成功しています。例えば、Matterportの販売ネットワーク、充実サポート、共同マーケティング、販売プログラムといったメリットにアクセス可能です。プラットフォームパートナープログラムの詳細と参加申請についてはhttps://matterport.com/platform-partner-programを参照してください。
E-Making S.r.lについて
e-Making S.r.l.は2018年に設立されたデジタルエンジニアリング会社で、エンジニアリング会社StudioDEGで創業者のAngelo De Cocinis氏とそのチームが培った建築設計・施工管理畑での20年の経験を受け継いでいます。絶え間ないイノベーションの過程で、劣化した建築物の設計・建築プロセスと施設管理を専門とするエンジニアリング会社が誕生しました。
本社
イタリア・ボローニャ
業界
エンジニアリング - 建築
課題
建築、機械、電気、配管(MEP)チームおよび構造工学チームがキャプチャ、分析、モデリングを効率化できるように支援する。
製品
Matterport Pro2
Leica BLK360
Matterport開発ツール
解決策
e-Makingはプロジェクトのライフサイクル全体を通じてデジタルツインをキャプチャし、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)プロセスとデジタル検査を効率化し、精度を向上しています。同社はMatterportプラットフォーム開発ツールを活用して没入型デジタルツインに関して蓄積されたする建築書類を効果的に管理するためのソリューション、e-Buildingを開発しました。
成果
- 現地調査に要する時間を70%、コストを20%削減
- 現地調査をバーチャルに行うことで、時間とコストを100%節約
- 従来の手法に比べ、測定データの精度が50倍向上
- Matterportプラットフォーム上に構築したe-Buildingは、デジタルツインを中心に集約された建築物のドキュメンテーションを効率的に管理することで80%のコスト節約を達成
https://nginx.production.matterport.us2.amazee.io/ja/industries/case-studies/e-makinglishidejianzaowunobaocunxiufunaizhenbuqiangnimatterportwohuoyong